日本の暑い夏。
日本のはるか南、赤道付近の海水温の上昇から台風が発生しやすい季節になります。
例年、7月から10月にかけて発生した台風が、日本に近づき、その一部は上陸します。
台風がもたらす暴風雨による被害も心配ですが、体調不良を訴える人も多くなります。
よく、雨の日や、特に台風が近づくと体調が悪くなる人がいますね。
その中でも頭が痛くなる、と悩む人が増えます。
気象状況と何か関係がありそうですね。
台風や雨の日の体調不良は「天気痛」
「雨の日は頭が痛くなるんです」
「台風が近づくとぜんそくの発作が出やすいのよね」
「梅雨時に古傷がしくしく痛むから不思議」
「関節が痛くなるから雨が近いのがわかる」
などなど。
不思議に思われるかもしれませんが、天気が原因で起きる体調不良はあります。
医療現場では「気象病」と呼ばれていました。
最近では、こうした症状を「天気痛」と呼びます。
「天気痛外来」のある病院もあります。
一番多くの人が挙げる具体的な症状としては、頭痛です。
ほかには、首の痛み、めまい、耳鳴り、気管支ぜんそく、関節痛、神経痛、古傷の痛み、鬱(うつ)や不安症など。
現在、気象病で悩む人は日本だけで、約1000万人と推定されています。
台風や雨がもたらす頭痛の原因は何?
では、何故、台風の接近や雨の日に限り、頭痛の症状が出るのでしょうか?
これには、気圧の変化が影響しています。
気圧というのは、気体の圧力のことですね。
人は、地上にいる限り気圧の影響を常に受けています。
水の中では、水圧を受けますが。
天気図で、高気圧とか低気圧という表記を目にしますね。
そして、台風そして雨をもたらす低気圧が、人に気象病を発症させることになるのです。
人の身体は、気圧の変化に敏感に反応します。
具体的に言いますと、台風が接近すると、人の身体は、低気圧の中にいることになります。
そうすると、身体の中では、
① 血管内の圧力のほうが高くなるので、広がろうとします
② 血管を取り巻く神経が刺激を受けて「痛み」を感じます
③ 血管の広がりを抑えて、収縮させようとします。
通常は、この作業を瞬時に行うので、痛みすなわち頭痛を感じない人のほうが多いのです。
痛みに関しては、脳神経の中で最も大きい神経である三叉神経が影響を受けやすいので、頭痛を症状として訴える人が多いのです。
そして、この一連の作業を取り仕切っているのが自律神経です。
自律神経が不調をきたしている人は、この切り替えが上手くいかず、症状が出てしまうのですね。
では、この自律神経に指令を出しているのは何か?
「耳」の中の「内耳」にある三半規管です。
これが気圧の変化を感じると、自律神経系を活性化させます。
因みに、自律神経には、2種類あります。
交感神経
血管を収縮させ、心拍数を上げて体を興奮させる働きをする
副交感神経
血管を広げて体をリラックスさせる働きをする
あと、「もうすぐ雨が降るよ」と当ててしまう人もいますよね。
これも同じ仕組みですね。
例えば、天気図には現れない局地的な雨。
夏の積乱雲などでは、激しい上昇気流が起こって、地表の気圧が低くなっています。
このため、敏感な人は、雨を予想できるのですね。
台風の接近や雨の日の頭痛を解消する対処法はこれ!
天気の予報ができるのは、ある意味うれしい能力?かも、ですが、頭痛などの体調不良はいただけませんね。
何かした対処法はないものでしょうか?
予防方法としては、自律神経のバランスを整えるということですね。
とはいえ、意志の力で制御できるものではないです。
・適度な運動
・規則正しい生活
・栄養バランスを考えた食事
・ストレスの解消
このような、地道な、ある意味、人の生活のあるべき姿を実践していくしかないのです。
そして、最近では、エアコンのおかげで、夏は涼しく、冬は温かく過ごすことができます。
このように身体にとってやさしい環境は、逆に、自律神経の働きを弱めることになります。
必要以上に、身体を甘やかすことは止めましょう。
症状が出た場合の処置としては、どうすればよいでしょう?
そもそも血管の拡張による神経刺激が原因になりますので、血管を収縮させて神経へのストレスを軽減してやることが必要ですね。
・コーヒーを飲む
コーヒーに含まれるカフェインには脳内の血管を収縮させる作用があります。
これにより痛みが改善されると考えられます。
・頭を冷やす
冷やす事で血管の拡張を抑え痛みを引く事につながります。
あと、薬で言うと、抗ヒスタミン薬の入った市販の酔い止めの薬も効く可能性があります。
抗ヒスタミン薬は、血管拡張を抑える効果があるからです。
また、頭痛を抑える薬としてロキソニンが良く使われますが、これには、血管を収縮させる作用はないので、気圧変化に伴う頭痛には効かないです。
まとめ
気圧の変化で、体調不調を招くのはつらいですね。
なかなか特効薬はないですが、頭痛が起こる仕組みはわかっているわけです。
そして、永遠に続くわけでもありません。
低気圧が遠ざかれば痛みから解放されますから。
自分なりの緩和方法を見つけましょう。
病院での診察を望むのであるならば、脳神経外科あるいは神経内科がいいですね。
お近くに頭痛外来があればベストです。